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CATのアメリカ東海岸留学

CATのアメリカ東海岸留学

バブルと留学

冬ソナでキム・サンヒョクの「結婚したら留学でもしようと思う」というセリフを
聞き、ちょっと思ったことをつらつら書いてみる。

自分が留学したのは日本にかろうじてバブルの「残り香」が残っていた頃だ。
1ドル80円。自分の経験や友達などの話を聞くにつけ、今と当時の同世代の
数字の上での収入差は倍以上ある思う。

さらに先日、たとえば自分が卒業した大学の学費が既に1.5 倍になっている
ことに気付いた。自分のI-20(学費情報も記載されているビザ書類)では
13000ドルのところ、現在の学費は22000ドル超だ。

そこらへんの話を総合すると、留学の経済的負荷は今と当時で4~5倍の開きが
あるわけで、つまり極端な話、今、年収1000万の人がする留学を年収200~
250万レベルの人ができたということなのかもしれない。(現実的にはそう
単純な話ではないだろうけど。)というわけで、当時はそれなりに「自腹留学」が
多かったのもうなづける。ごく普通のサラリーマンでも2~3年でそれほど
苦もなく複数年の留学費用を貯めることができた時代だ。

1ドルが80円だった自分の留学初期。周りには韓国人留学生も多かった。彼らの
話では韓国からの海外渡航が自由になったのは(その当時からすれば)最近のこと。
それこそ堰を切ったように留学を含めた海外渡航ブームが来たそうだ。当時、
どんどん進んでいたウォン高もそれを後押ししていたのかもしれない。

たださすがに短期語学留学止まりが多く、自分が大学に移ってからは韓国人との
交流もあまりなくなった。

そのうちにウォン大暴落が起こった。たしかほとんど一夜にしてウォンが半値まで
暴落したんじゃなかな。一夜にして1ドルが200円になるようなもんだ。これは
子供を留学に出している親はたまったもんじゃない。ものすごい勢いで韓国人の
アメリカ出国が始まったわけだけど、もちろん韓国便の席はいっぱい。空席待ちの
何週間かの間に仕送りは底をつくか、米ドルの額面では半分になってるから、国に
帰れない韓国人留学生は本当になんとか食いつないでるって状態だった。

自分がいた町で流行ったのが韓国人の食い逃げ。アメリカではテーブルにチップ
込みの現金をおいてそのままレジで会計せずに立ち去るってのは当たり前だから、
これを悪用して食い逃げをしてたみたいで地元紙でも取り上げられていた。外国で
金は底をつき、食うにも困ったっていう切実な状態だったんだろうけど、なかなか
すさまじいものがあった。

余談だけど、この後円も一時期1ドル130円まで安くなって、日本人留学生でも
けっこう影響うけてた人がいた。

さてウォン大暴落で一時ドン底に落ちた韓国経済はウォンのレートも含めて
ここ何年かで十分持ち直し、韓国人留学生がまた急速に増えてきている。

アメリカでもあれだけ評判が悪かったヒュンダイ車の品質も、日本車に追いつけ
追い越せ。(以前ヒュンダイに技術供与していた三菱が青息吐息というのがなんとも
対称的。)実はヒュンダイは既に日産、ホンダを抜き、アジア発のメーカーとしては
トヨタに次いで世界第二位だというのは日本ではあまり知られていない。

車好きの自分としては、なんとか日本車にがんばってもらいたいところで、韓国車の
アラ探しなどをしてきたけど、最近の韓国車(特にエコノミークラス)は正直言って、
日本車と比べても遜色ないところまできてしまっている。あれだけSONYなどの
独占市場だった電気製品だって、最近はLGやサムソンのほうが勢いがあるくらいだ。
未だに「韓国ブランド」に先入観がある日本国内と違って「実質本位」のアメリカ
市場は実に正直だ。

そんな日本製品を韓国製品がモロに席巻しているアメリカという所にて、さて
「冬ソナ」を見ていて思ったことがあった。

「このノリどっかで見たことがある。」

バーなどはは気が利きすぎてるくらいおしゃれな店。登場人物の職業も軒並み
「業界系」。オフィスなども効率云々よりもなによりも洗練度重視。

もちろんこれはドラマだし、韓国の社会構造も日本とはまた違うんだろうけど、
とりあえず表面だけを捉えれば、このノリまさに日本のバブル期のノリなのだ。

バブル期の日本ではこういった設定がドラマの中だけでなく「普通の日常」に存在
していたんだよね。「プラスアルファ」に気を回す余裕がありすぎるくらいあったと
いうことだと思う。

冬ソナ前半の舞台になっているスキーリゾートもそう。これ、まさにバブル期の
日本のリゾートにそっくり。(余談だけどバブル期には韓国のスキーリゾートに行く
のが流行った。交通費を含めても日本のスキー場に行くより格安だった。)効率無視、
デザイン重視で贅沢に確保された空間云々、言ってたらキリがないけど。

もちろん日本のものはその後軒並み「バブルの塔」と化した。本当に廃墟になって
しまった所もある。

バブルというのはあらゆる意味で「プラスアルファ」を可能にした。

例えば留学。

冬ソナでサンヒョクがごく自然に「結婚したら留学しようと思う」と言ったように、
バブル期には日本でも普通の会話の中で「留学」が語られていたようにも思う。
とりもなおさず親などに頼ることなく自腹で気軽に留学できたからだ。

韓国ドラマには「お約束」というのがあるらしい。「主人公はお金持ち」「主人公が
事故に遭う」「記憶喪失」「三角関係」「血縁関係」「美男女」「海のシーン」そして
「留学」。つまりそれだけ今の韓国ではバブルの頃の日本のように留学が「ちょっと」
手を伸ばせば手が届く存在ということなのかなぁと思う。

日本をかなり席巻してきている韓国。さてはてこれからどうなるんだろう。


さて、視点を中国に移してみよう。

自分がアメリカに来たころは、さすがに自分が生きている間に日本が中国に抜かれる
日は来ないだろうと思っていたけど、最近めっきり状況が変わってきたような気がする。
もしかしたら逆転する日が20年、ヘタすりゃ10年後に来るのかもしれない。
(分野によっては既に逆転されている。)

中国の急速な経済成長云々はいくらでも新聞ダネになってるけど、「留学」という
観点から見てみると、まず「大学」に留学してくる中国人が如実に増加した。

奨学金つきの大学院留学とは違い、自腹を切らなきゃならない学部留学ができる
中国人は自分が留学してきた頃は皆無だったけど、最近はぼちぼち中国人の学部
留学生を見るようになった。

それから中国に帰る中国人研究者がでてきた。以前は中国人研究者は国から出ることに
必死で「研究するためにアメリカに来るのではなく、アメリカに住むために研究をする」
などと言われ、いまだそういう中国人も多いけど、驚いたことにちらほら中国に
帰る人が出てきた。どうやら場合によっては既に中国の方が(母国だからというのも
あってか)環境が良くなってきているらしい。

つい最近のニュースでも、ついに中国が研究開発費、研究者数でも日本を抜いたことが
報道された。

「(前略)中国は2006年に1360億米ドル以上を研究開発に投資(中略)これに対して、
日本の研究開発費は1300億ドル、米国は3300億ドル(後略)(2006年12月5日付
"IT media" News http://www.itmedia.co.jp/news/ より抜粋)」

それに比べ大学院重点化で量産されてしまった結果、国に居所なく、アメリカに流れて
きてその後の行き場を失ってしまっている我が日本の研究者はこれからどうなるんだろう。

そして、先日驚くべきことを知り合いの中国人から頼まれた。

「知り合いの娘が大学受験に失敗して、そのままダラダラさせてしまうのもなんだから、
アメリカの語学学校(ゆくゆくは大学)に留学させたいのだが、やり方を教えてくれ」

昔は中国人は国から出る手段としての留学を実行するために必死に勉強して、試験の
スコアなどはかなりの高得点を出していたものだが、この話をされた時に日本の背後、
もうすぐそこに迫る中国の姿をみた・・・ってのはちょっと大げさかかもしれないけど、
中国もついにここまできたかと感じた。

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オリジナルエントリー
ウォン大暴落の想い出(2005年4月27日)
中国にもニートの波?(2005年6月15日)
冬ソナと留学(その1)(2005年12月6日)
冬ソナと留学(その2)(2005年12月7日)
冬ソナと留学(その3)(2005年12月8日)
古いI-20を引っ張り出してみる(2006年2月21日)


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